「才能」とか「天才」という言葉が、以前に比べてずい分軽い印象になりました
障がいのあるお子さんを持つご家族の中には
「うちの子には絵を描く才能とかないから」
「障がいがあるから何も出来なくて（仕方ない）」と言われる方もあれば
「うちの子、◯◯の才能があるんです」と言われる方もいる
皆さんにとって「才能」って何でしょう
私にとって「才能」とは、少なくともその「タネ」は誰にも備わっている、と思っています
その「タネ」をご本人自身やご家族が気付いたり、第三者が気付いたりして
それをコツコツと大切に育てて開花させた結果が作品であり
その過程を「才能」と呼ぶのではないか、と思っています
それは絵だけじゃなくて
研磨などの作業であったり、お掃除だったりと色々です
絵だからすごい、とか軽作業だからどうだ、とかそういうことではないと思うのです
手法を変えたり、全く新しい方法に挑戦したり、「こうじゃない」を繰り返し、
それでも学び続けて積み上げていく道のり
はたから見れば、そして出来上がった結果だけをみれば「すごいね」で片づけられるようなことでも
ゴールの見えないその道はとても険しく長く感じられたことと思います
きちんと当てはまれば集中して能力を発揮出来る彼らだけど
それを見つけるまでは、根気もあるとは言えない
やりたくないと思えば絶対に手をつけず、無理やりさせることは出来ない
支援する側だって、随分と消費するのです
子どもの頃、全く落ち着かずウロウロ、グルグルしていたお子さんの心を
薬を使わず何とか落ち着かせてあげたいと思って色々試した結果が絵を描くことであったり
言葉で伝えることが難しいお子さんの描くモノの中に
本当に言いたいことを見付けたり
「タネ」は日常の中に散りばめられていて
それを諦めず、人任せにせず、くさらず、一緒に歩き続けてきた結果が
実を結んで「才能」と呼ばれるようになり
今度は観る人の心を動かすのではないでしょうか
「タネ」を見つけて水をやり、肥料をやり、やっとで小さな花をつけて
人に観てもらったりする中で気を付けないといけないことがあります
それは「慢心」という毒です
素直で熱心な方ほど陥りやすいこの毒は
せっかく育っている芽を襲い、開花することなく枯れさせてしまう
周囲の人たちは無責任に「タネ」や「芽」の段階で
その人たちのことをおだてたり、あおったりする
素直で信じやすい「善い人」ほど
お子さんやご自分がすごく、特別な人になったように感じる
段々そのように振る舞う
すると周囲に集まってもてはやしていた人たちは
手のひらを返したように離れて行き、今度は批判する
美しい花が咲くはずだった「タネ」が腐り、枯れていく光景を
私は幾度となく見てきました
それはとてもとても残念なこと
もちろんこれはどんな人にも、どんな職業にも当てはまることだけれど
素直で熱心に療育や支援にあたって来られた方ほど陥りやすく
その後のショックも大きいのだと思います
そういう意味で「才能」というものは
誰の近くにでもあって手に入れられそうだけど
同時になかなか手に入れられないものだなあ、と感じます
私は展示させて頂く作品が素晴らしい、とか上手かとかは考えたことがなくて
それはこれがコンテストではなく
優劣をつける必要がないからです
ただ、その時々の会場を提供して下さった方と
その会場の雰囲気やシーズン、訪れる方の層でテーマを決め
それに合った作品を集めて趣向を凝らして展示させて頂いています
各作家さんやそれを支援されている方には
その場の雰囲気に合うようにアドバイスもさせて頂いていて
それに応じて下さる方もいれば、そうならない場合もあります
それは仕方のないことです
ただ、私にはご依頼頂いた方やそこへ来られる方を楽しませたり癒したりして
新しい出逢いやお仕事を生み出すことで
障がい者と社会を繋ごう、という明確な目的と責任があります
作家さん自身や所属事業所さんがお互いを知らなくても
リマポエを通して作品とディスプレイ、会場という場が融合して
観る人の心を動かす一つの作品になるといいなぁ
と思って創り上げています
限られた時間と予算の中でやっていることなので
完璧、とはいかないけれど
なかなか、普段は特別な場所で少ない人の目にしか触れない障がい者の作品に光を当てることで
普段とは違う人たちに観て頂いて
彼らの力でその方たちを、社会を笑顔に出来るといい、と思います
私もまたきれいな花が咲くようにせっせとに水を撒いているつもりです
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